酸化亜鉛透明トランジスタ
酸化亜鉛(ZnO)
図.1 ZnO透明トランジスタ |
ZnOは太陽電池の透明電極などで古くから知られた材料でした。 ところが、最近、紫外線レーザを発振することが発見され、直接遷移型の半導体として再び注目を浴びるようになりました。 我々はZnOが可視光に対して透明な半導体であることに着目し、目に見えないトランジスタの開発を行っています。 |
ZnO薄膜トランジスタ
電界効果トランジスタの一つである薄膜トランジスタ(TFT : Thin Film Transistor)を作製しています。構造は図.2のようになります。ソース、ドレイン、ゲートの各電極に透明電極を用いると、図.1のような透明トランジスタを作ることが可能です。得られたトランジスタ特性の一例を図.3に示します。ゲート電界によりZnO(n型半導体層)の電子が蓄積状態(ON状態)、空乏状態(OFF状態)にコントロールされていることがわかります。ZnO TFTの電界効果移動度(TFTの性能を表す)は2.3cm2/Vsが得られており、液晶ディスプレイ(LCD)のスイッチング素子として用いられているアモルファスシリコン(a-Si) TFT の~0.5cm2/Vsに比べて良いことが解りました。 |
図.2 ZnO TFT構造 |
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図.3 TFT伝達特性 (ON状態)ゲート電圧を正に印加すると、絶縁層を介してZnO(n型半導体)層中の電子が集められ(チャネルが形成され)ソース、ドレイン間に電流が流れる。 (OFF状態)逆にゲート電圧を負に印加すると絶縁層とZnO層の界面には電子が集まらないのでソース、ドレイン間に電流は流れない。 |
まとめ
これまでの成果から、ZnO TFTは透明でa-Si TFTより優れた特性を持っていることが解りました。また、図.4のようにプラスチック基板上にも作製が可能なので(残念ながら、まだ良好な特性が得られていませんが・・・)、LCDのスイッチング素子に用いられた場合、より明るくて、軽く、衝撃に強いLCDができると予想されます。
ZnO透明トランジスタの開発は東北大学金属材料研究所川崎研究室との共同研究により行われています。 川崎研のホームページもご覧ください。 金属材料研究所川崎研究室 戻る |
図.4 プラスチック基板上に作製したZnOトランジスタ |