Prof.Ohno, Hideo


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 電荷とスピンを使った新しいエレクトロニクスを創生することを目指して、半導体や金属を自在に使い、物理や材料からデバイスを研究しています。強磁性を示す磁性半導体や非磁性半導体中のスピンの研究は、基礎的な研究で新しい概念を提案すべく固体のスピン物性のページを一枚一枚めくる醍醐味があります。金属磁性体素子の研究は、待機電力ゼロの集積回路など応用を目指した開発研究です。新しい風を産業に吹き込んでいく実感が持てる研究課題です。もちろん基礎と応用を結ぶ研究も進めています。どの研究テーマも世界を舞台に、世界を相手にして進めるものです。

 と言っても、研究室配属の際は、予備知識はそれほど必要ありません。もちろん基礎的な事項を理解している方が良いのですが、それ以上に新しいことにチャレンジしたい、未来を共に作っていきたいという意欲が大切です。
 これまでの「勉強」は、スポーツで言えば基礎体力づくり、基礎練習でした。いよいよこれからが本番です。皆さんには、これまで培ってきた知的な体力・能力、さらには人間力を、研究室の活動を通してさらに一回りも二回りも大きなものにし、様々な舞台で活躍してほしいと思っています。

この一年に読んだ本:
塩野七生 「十字軍物語 3」 
塩野さんの一連の著作は歴史が孤立した事象からなるのではなく、流れがあり文脈があることを人間の物語として実感させてくれる。こう教えてくれていたら、と思わずにはいられない。先日お会いした際にも、人間を知るための歴史的素養、すなわち教養の重要性を強調しておられた。これからの作品が大いに楽しみ。

山本七平 「渋沢栄一 近代の創造」 
ここしばらく以前読んだ山本七平の著作を読み直している。ただし、これは初めて読む。なぜ日本が近代を受け入れることが可能だったのか、それはもともと江戸時代に近代が形作られていたからだという論考。日本の位置や進路が一層不透明になってきたいまこそこのような考察が重要だ。

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