量子カスケードレーザー

量子カスケードレーザは、半導体量子構造に人工的に形成される量子準位(サブバンドと呼ばれる)を用いた半導体レーザで、1つの材料から広い波長領域の光を出すことが可能です。又活性領域内に発光層を多段につなげたユニークな構造を使っているため、光のエネルギの小さな波長領域においても高い光出力を得ることができます。本研究室では広い波長範囲で発光し、かつ高い発光効率を持つ狭ギャップ半導体量子カスケードレーザに注目して、光通信の波長域から光と電波の境界領域であるテラヘルツ帯までの広い領域で動作する半導体レーザの実現を目指して研究を行っています。

分子線エピタキシー(MBE)装置とナロウギャップ半導体InAs量子カスケードレーザーの活性領域の透過電子顕微鏡像。活性領域は600個のInAs量子井戸から構成され、InAs井戸層の厚さは数ナノメートル、AlSb障壁層の厚さは1nm以下となっています。

作製したInAs/AlGaSb量子カスケードレーザーの発振スペクトル。現在までに4ミクロンから14ミクロンの波長領域で発振に成功しています。最高動作温度は305Kです。

量子カスケードレーザーの概念図。階段状のポテンシャルを半導体量子井戸構造のサブバンドを使って人工的に作ります。電子は階段を降りるたびに発光します。

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